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令和2年分から適用される年末調整の改正点 その2

2020年12月03日(木)4:53 PM

令和2年分の年末調整の改正点の続きです。

4.所得金額調整控除の新設

 前回の〈令和2年分から適用される年末調整の改正点 その1〉の改正の1や2については高額所得者に対して増税となる内容が中心です。しかし、中には特別な事情により税負担を強いることが難しい人もいるため、調整して税負担の軽減を行う「所得金額調整控除」という制度が新設されました。
 所得金額調整控除には、下記の(1)または(2)の二種類の控除があり、このうち(1)の控除は年末調整において適用することができます。
 いずれも給与所得から一定の金額を控除する制度であり、概要は下記の通りです。

(1)子ども・特別障害者等を有する者等の所得金額調整控除

 その年の給与等の収入金額が850万円を超える給与所得者で、①のイ~ハのいずれかに該当する給与所得者の総所得金額を計算する場合に、②の所得金額調整控除額を給与所得から控除するものです。

 ①対象者
   イ.給与所得者本人が特別障害者である人
   ロ.23歳未満の扶養親族がいる人
   ハ.特別障害者である同一生計配偶者(法律婚に限る)又は扶養親族がいる人
 ②所得金額調整控除額
   (給与等の収入金額(注)-800万円)×10%
    (注)給与等の収入金額が1,000万円を超える場合には1,000万円

(2) 給与所得と年金所得の双方を有する者に対する所得金額調整控除

 その年において、次の①に該当する者の総所得金額を計算する場合に、②の所得金額調整控除額を給与所得から控除するものです。
 ①対象者
   その年分の給与所得控除後の給与等の金額と公的年金等に係る雑所得の金額がある給与所得者で、
   その合計額が10万円を超える者
 ②所得金額調整控除額
   (給与所得控除後の給与等の金額(※) + 公的年金等に係る雑所得の金額(※))-10万円=控除額
   ※ 10万円超の場合は10万円

〈留意点〉
2か所以上から給与等の支払を受けている場合
 給与等の収入金額が850 万円を超えるかどうかについては、年末調整の対象となる主たる給与により判定することとなります。したがって、年末調整の対象とならない従たる給与は含めずに判定することとなります。
 ただし確定申告をする際には、それら全ての給与等を合計した金額により判定することとなります。
共働きの世帯の場合
 所得金額調整控除は、扶養控除と異なり、いずれか一方の給与所得者のみに適用するという制限がありません。よって、夫婦ともに給与収入金額が850万円を超えており、たとえば夫婦の間に23歳未満の扶養親族である子がいるような場合には、その夫婦双方でこの控除の適用を受けることができます。

5.様式(用紙)の変更

 「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」(いわゆる「マル扶」)、 「給与所得者の保険料控除申告書」 (いわゆる「マル保」)のほか、令和2年度からは「給与所得者の基礎控除申告書兼給与所得者の配偶者控除等申告書兼所得金額調整控除申告書」(「マル基・配・所」)という3種類の書類になりました。
 上記4の新設された所得金額調整控除に関する「所得金額調整控除申告書」は、「基礎控除申告書」及び「配偶者控除等申告書」との3つの申告書の兼用様式となっています。この申告書は、基礎控除や配偶者控除等の適用を受けるためにも提出する必要がありますので、各控除の適用を受けようとする場合は必要事項を記載し、給与等の支払者に提出することになります。

〈留意点〉
 ●令和2年度からは基礎控除を受ける場合に、「基礎控除申告書」の提出が必ず必要です。年末調整が受けられる年収の上限から勘案すると、おそらくほぼすべての年末調整の対象者が、この申告書(「マル基・配・所」)の基礎控除申告書部分を記入した上で提出をする必要があると考えられます。
 ●「扶養控除等申告書」の「控除対象扶養親族」欄等への記載の有無にかかわらず、「所得金額調整控除申告書」の提出がなければ、所得金額調整控除(上記4(1)子ども等)の適用を受けることはできませんのでご注意ください。


 各様式の書き方は、国税庁HPに掲載されています。
 令和2年分の記載例と書き方は、昨年に比べてとても分かりやすくなっていますので、ぜひ参考にしてください。

給与所得者の基礎控除申告書・給与所得者の配偶者控除等申告書・所得金額調整控除申告書の記載例  
給与所得者の保険料控除申告書の記載例
令和3年分 給与所得者の扶養控除等申告書の記載例



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