ホーム > 平成28年税制改正 主な項目の概要

平成28年税制改正 主な項目の概要

2016年01月18日(月)1:22 PM

《法人税》

1.法人税率の引き下げ(中小法人以外)

 現行法人税率23.9%(資本金1億円以下の中小法人は年800万円以下の金額については特例により15%)が、次のように引き下げられます。

  (1)中小法人以外
    ①H28年4月1日~H30円3月31日の間に開始する事業年度  ・・・  23.4%
    ②H30年4月1日以後開始する事業年度 ・・・ 23.2%
  (2)中小法人
    ①H28年4月1日~H30円3月31日の間に開始する事業年度
      ・・・年800万円超の金額は(1)と同じ23.4%、年800万円以下の金額については特例により15%
    ②H30年4月1日以後開始する事業年度
      ・・・年800万円超の金額は(1)と同じ23.2%、年800万円以下の金額については19%

2.繰越欠損金利用制限の見直し

 法人実効税率の引き下げの財源として、繰越欠損金について次の改正が行われます。

  (1)大法人の繰越欠損金の繰越控除限度割合の段階的な引き下げ
    (H28年3月31日までは65%、H28年4月1日からは60%、H29年4月1日からは55%)

  (2)欠損金の繰越期間を9年から10年に延長する施行時期は、「H29年4月以後」から「H30年4月以後」開始事業年度発生分へ延期

3.減価償却制度の見直し

 H28年4月1日以後に取得する資産について、建物付属設備や構築物の減価償却方法は、定率法が廃止され、定額法となります。

4.雇用促進税制の見直し

 現在は正社員か非正規社員かを問わず雇用者数が5人以上(中小企業は2人以上)増加し、かつ雇用増加割合10%以上等の要件を満たす企業は雇用者増加数1人当たり40万円の控除が受けられますが、その対象となる雇用の増加が「有効求人倍率が低い地域(愛知県・東京都・大阪府などは対象外)における正社員の雇用増加」に限定されます。
 ただし、 一定の調整の上で、所得拡大促進税制促進税制との併用が可能となります。

5.地方創生応援税制(企業版ふるさと納税)の創設

  地方公共団体に対する寄付金は法人税法上全額損金算入ですが、一定の地方公共団体で、国が認定した地方創生事業に対する寄付を行った場合に、さらに法人事業税、法人住民税の税額控除が認められます。


《消費税》

1.消費税の軽減税率の導入

 消費税率はH29年4月1日から10%(国税7.8%、地方税2.2%)へと引き上げられますが、次の課税資産の譲渡等については、消費税の軽減税率8%(国税6.24%、地方税1.76%)が適用されます。

 (1)飲食料品の譲渡(酒税法に規定する酒類及び外食サービスを除く)
 (2)定期購読契約が締結された新聞(一定の週2回以上発行される新聞に限る)の譲渡

2.高額資産を取得した場合の特例

 課税事業者(原則課税)の場合に高額資産(※1)の仕入れ等を行ったときは、その仕入等の日の属する課税期間からその課税期間の初日以後3年を経過する日の属する課税期間まで、免税事業者になることや簡易課税制度の適用を受けることができなくなります。(※2)
 また、自ら建設等する場合も同様に、建設費用が1,000万円(税抜)以上となった日の属する期間から、建設等が完了した期の属する課税期間の初日以後3年を経過する日の属する課税期間までは、免税事業者になること及び簡易課税制度の適用は不可となります。

  ※1 高額資産とは、一取引単位につき、支払対価が1000万円(税抜)以上の棚卸資産・調整対象固定資産をいう。
  ※2 H28年4月1日以後に国内で高額資産の仕入等を行った場合について適用

3.適格請求書等保存方式(インボイス制度)の導入

 H33年4月1日からいわゆるインボイス制度(「適格請求書等保存方式」)が導入されますが、それまでの経過措置としてH29年4月1日からH33年3月31日まで、簡素な方法(「区分記載請求書等保存方式」)が導入されます。


《所得税》

1.空き家に係る譲渡所得の特別控除の創設

 現在は、居住用家屋及びその敷地の譲渡があった場合に、譲渡所得の3000万円の特別控除が可能ですが、相続時から3年を経過する日の属する年の12月31日までに、被相続人の一定の要件を満たす居住用家屋を相続した相続人が、その家屋及び土地(家屋に耐震性のない場合は耐震リフォーム後のものに限る)または除却後の土地を譲渡した場合には、その家屋又は除却後の土地の譲渡益から3,000万円を控除することができるようになります。

2.住宅の三世代同居改修工事等(※1)に係る特例

 個人が、自己所有の居住用家屋に三世代同居改修工事等をして、平成28年4月1日から平成31年6月30日までの間に居住の用に供したときは、次のいずれかの特例を適用できます。

  (1)住宅借入金(償還期間5年以上)の年末残高1,000万円以下の部分に一定の割合を乗じた金額(①、②の合計額)を5年間税額控除
   ①三世代同居改修工事に係る工事費用(250万円を限度)に相当する借入金の年末残高×2%
   ②その他の住宅借入金の年末残高×1%

  (2) 三世代同居改修工事の標準的な費用の相当額(250万円を限度)の10%相当額を税額控除

 ※1  三世代同居改修工事とは、キッチン、浴室、トイレ、玄関のいずれかを増設し、改修後いずれか2つ以上が複数となる工事で、一定のものをいう。

3.医療費控除の特例

 医師の関与のもと特定健康診査、予防接種、定期健康診断、がん検診を行う個人が、自己または自己と生計を一にする配偶者その他親族に係る一定のスイッチOTC医薬品(※1)を購入した場合、その年中に支払った金額の合計が12,000円を超えるときは、その超える部分の金額(88,000円を上限とする)について、総所得金額等から控除する。

 ※1 一定のスイッチOTC医薬品とは、要指導医薬品及び一般用医薬品のうち、医療用から転用された医薬品をいう。
 ※2 現行の医療費控除との併用不可
 ※3 H29年1月1日からH33年12月31日までの間の購入に適用

 

4.通勤手当の非課税限度額の引き上げ

  通勤手当または通勤用定期乗車券の非課税限度額が、H28年1月1日以後、最高月10万円から月15万円に引き上げられます。

 

《その他》

 ●償却資産税の特例
 ●子育て資金の一括贈与に係る贈与税の対象費用に、不妊治療の費用が含まれることが明確化されました。
 ●自動車取得税は平成29年3月31日をもって廃止となります。それに代わって、同年4月から燃費性能に応じて支払う新税が導入されます。具体的には、自動車税及び軽自動車税について、それぞれ環境性能に応じた税率がかかるようになります。
 ●国税のクレジットカード納付制度の創設(H29年1月4日以後の納付から)



過去の記事