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マンション管理組合の税金

2015年10月08日(木)10:57 AM

 最近、税務署から、マンションの管理組合の納税義務についての指摘(お尋ね)を受けるケースが増加しています。
 税金を払う必要があることに気付かずに、無申告となっている場合も多く見受けられるようです。
 納税義務があるにもかかわらず今まで無申告であれば、5年遡って課税され、本来の納めるべき税金に加えて無申告加算税も支払わなければならないため、注意が必要です。


 1.管理組合とは

 マンションでは「建物の区分所有等に関する法律」(「区分所有法」)の規定により、新築(マンションの引き渡し)されると「管理組合」が自動的につくられ、区分所有者全員が自動的(強制的)に管理組合の組合員になります。
 ここで、区分所有法の適用を受けるマンションとは、複数のオーナー(区分所有者)がいる建物をいいます。
 つまり、木造2階建てのアパートでもオーナーが複数いればマンションとなり、鉄筋コンクリート10階建てのワンルームマンションでも、オーナーが1人であれば、区分所有法の拘束を受けないことになります。

 管理組合では、居住者間の共通ルールを作ったりするための集会(総会)を少なくとも毎年1回開く事が義務付けられており、管理者(理事長)が召集することになっています(実務上は管理会社がサポートしてくれると思います)。

管理組合の組織は、株式会社に例えると次のようになります。

  管理組合の最高意思決定機関である『総会』・・・・・・株式会社の『株主総会』
  管理組合で日常の案件を処理する『理事会』・・・・・・株式会社の『取締役会』
  管理組合の『理事長』・・・・・・・・・・・・・・・・株式会社の『代表取締役』
  『区分所有者』・・・・・・・・・・・・・・・・・・・株式会社の『株主』

 なお、管理組合を法人化すること(「管理組合法人」)も可能です。


2.管理組合の会計

 管理組合の会計は、営利を目的としない公益法人の『公益法人会計』に準拠しますが、会計処理については、『企業会計』の一般会計原則がベースとなっています。
 会計処理で注意すべき点としては、備品などの資産の購入があります。
 企業では一定額以上の備品を購入した際、資産として計上し、売上に対応する必要経費とするため、毎年減価償却を行わなければなりません。
 しかし営利目的でない管理組合の会計では、備品購入は資産計上せず、単年度の支出として処理するのが一般的です(備品という資産の管理は、台帳などで別途必要)。

 また、『公益法人会計』の特徴として、特定の目的のために、一般会計とは別に特別会計を設けることができる点があります。マンションの場合、大規模修繕に対する積立金が『資金留保目的』として、一般会計とは別に区分して管理されることになります。
 そして、管理組合が収益事業を行う場合は、特別会計を修繕積立金とは別にもうひとつ設定し、区分管理しなければなりません。


3.管理組合の法人税

 管理組合(管理組合法人も)は、収益事業から生じた所得にのみ、法人税(地方税も同様)が課税されます。
 収益事業とは、法人税法における34業種で、継続して事業場を設けて営まれるものをいいます。
 その収益事業のうちには、不動産貸付業があります。

 マンション管理組合で収益事業に該当する可能性がある代表的なものには、次のようなものがあります。

(1)駐車場収入

 マンション管理組合が駐車場の使用料収入を得ている場合、誰に駐車場の使用を認めているかどうかなどによって収益事業に該当するどうかが判断されます。
 区分所有者に対してのみ駐車場の使用を認めているときは、その使用料収入については、収益事業とはみなされません。 
 これは、区分所有者を対象とした共済的事業であることや、駐車場の使用料収入が管理組合において駐車場の管理に要する費用等に充当されることなどにより、収益事業である不動産貸付業には該当しないとされるからです。
 一方で、外部者に対する駐車場の貸付については、区分所有者と外部者を分けず募集しているかどうかや、駐車場の賃貸条件が区分所有者と同じかどうかなどの状況を勘案し、収益事業に該当することになります。  

(2)移動体通信などのアンテナ設置料収入

 マンション管理組合が、移動体通信業者との間で建物賃貸借契約を締結し、その契約に基づいてマンション屋上の一部にアンテナ(基地局)を設置させ、その設置料収入を得る場合は、収益事業である不動産貸付業に該当し、その所得に対して法人税が課税されます。
 このような、マンションに移動体通信業者のアンテナが設置されており、その移動体通信業者と区分所有者がデータ通信等の契約をしているというケースは近年多くなっているため、とくに注意が必要です。

4、管理組合の消費税

 消費税に関しては、管理組合の収入となる管理費や修繕積立金は、消費税の課税対象外とされます。
 消費税を課税されるケースとしては、収益事業を行い、その売上が1000万円を超えた場合に、その翌々年度のから消費税を納める義務が生じます。
 なお、マンションの組合員である区分所有者に対する駐車場の貸付は、車所有の有無にかかわらず1戸につき1台以上の駐車場が付属する場合には、消費税は課税されません。
 しかし、組合員以外の者に対する貸付など、それ以外の駐車場収入は、消費税の課税売上となります。



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