今年も半年が過ぎ…H27年税制改正をおさらい ~個人・資産課税~
(1)NISAの拡充
①従来→4年間同じ金融機関で投資 H27年から→毎年金融機関を選択可
②従来→投資枠は年100万円 H28年から→投資枠年120万円
(2)ジュニアNISAの創設
両親や祖父母が子供や孫の名義で投資する場合、年80万円までを非課税とする制度が新設されました。
対象は0歳~19歳で、非課税となるのは投資した年から最長5年間です。
通常版のNISAと異なるのは、引出に制限がかかる点で、18歳になるまでは非課税では引き出すことができません。途中で払いです場合には過去の利益に対して課税され、損失が生じる場合には損益通算できません。
この制度は、H28年1月から口座開設の受付が始まり、4月の運用分から非課税になります。
(3)富裕層の海外移住による税逃れの防止策
株式等の譲渡益への課税は、国内に住む人の株式売却益に所得税と住民税が合計20%かかります。
ただ、現行では含み益のある株式を保有したまま移住すると、日本政府からは課税されず、移住先の国が売却時に課税することになっています。
そのため、金融資産の売却に課税しないシンガポールやスイスに移住すれば、税金はかからないことになります。
これを防止するため、時価1億円以上の有価証券等の金融資産を有する居住者が国外転出する場合には、転出時に未実現の含み益に対して、所得税と住民税を合わせて20%を課税する制度が創設されました。
ただし、含み益に対する課税であるため、納税者に担税力がないことを考慮し、原則5年間(最長5年の延長も可)の納税の猶予制度も創設されます。
なお、転勤などで海外に一時的に住み、日本に戻る予定の人は、出国時に納税の猶予を申告し、国が定めた期間内に株式を売却せずに帰国すれば、課税が免除されます。
この制度はH27年7月1日以降に国外転出する場合に適用されます。
(4)ふるさと納税制度の拡充
前項参照
(5)結婚、子育て資金の贈与非課税制度の創設
祖父母や親が、20~49歳の孫や子に、結婚や出産、子育ての費用を資金により一括で贈与する場合に非課税となる制度が新設されました。
非課税枠は孫や子(受贈者)一人当たり1000万円まで(結婚費用の場合は300万円まで)で、金銭等を金融機関に信託することにより贈与した場合に適用されます。
50歳になる前に、資金の贈与をした親や祖父母が死亡した場合、残額があれば相続財産とみなされて、相続税の課税の対象となります。また、死亡しなくても贈与を受けた子や孫が50歳になった時点で使い残しがあれば、贈与税が課税されます。
この制度はH27年4月1日からH31年3月31日までの間に拠出されるものについて適用されます。
(6)教育資金の贈与非課税制度の延長
祖父母や親が29歳までの孫や子に教育資金を贈与した場合、孫や子一人当たり1500万円まで非課税にある制度です。
①適用期限 従来→H27年12月31日まで 改正→H31年3月31日まで
②対象となる教育資金の範囲 改正→通学定期代、留学渡航費用を追加
(7)住宅資金の贈与非課税制度の拡充
20歳以上の者が、親や祖父母から住宅購入資金をもらった時にかかる贈与税の非課税制度は、従来H26年末が適用期限で、一般住宅の場合非課税枠は500万円まででしたが、H31年6月末まで延長され、非課税枠を段階的に拡充されます。
<非課税枠(画像クリックで拡大)>(国税庁HPより)