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消費税の仕入税額控除の要件~カード利用にご注意~

2016年10月04日(火)4:30 PM

 

 納付する消費税は、「売上にかかる消費税」から「仕入にかかる消費税」を控除して求めます。
 この「仕入れにかかる消費税」を売上から控除するためには、一定の要件を満たす必要があります。
 近年では税務調査において、その要件について厳しく調べる傾向にあり、「仕入税額控除不可」と指摘される案件もみられます。

1.仕入税額控除の適用を受けるための要件

(1)原則

①課税仕入れ等の事実など一定の事項を記載した「帳簿

②課税仕入れの相手方から交付を受けたまたは自己が発行した、一定事項が記載されている「請求書等(請求書、領収書、納品書など取引の事実を証する書類)」

両方を保存する必要があります。

(2)例外

 取引の実態を踏まえ、一回の取引の支払額(税込)が30,000円未満の場合には、請求書等の保存を要せず、法定事項が記載された帳簿の保存のみでよいこととされています。
 また、支払額(税込)が30,000円以上であっても請求書等の交付を受けなかったことにつきやむを得ない理由がある場合には請求書等の保存がなくても仕入税額控除ができますが、この場合には、法定事項を記載した帳簿にそのやむを得ない理由及び相手方の住所又は所在地を記載しなければならないこととされています。

 なお、課税仕入れの事実を記載した帳簿、請求書等はその閉鎖又は受領した日の属する課税期間の末日の翌日から2か月を経過した日から7年間保存することとされていますが、6年目と7年目については、いずれか一方を保存すればよいこととされています。


2.帳簿の記載事項

原則として次の4つの事項です。

①課税仕入れの相手方の氏名又は名称
 原則正式名称の記載が必要ですが、正式な氏名や名称及びそれらの略称が記載されている取引先名簿が備え付けられていることなどにより、課税仕入れの相手方が特定できる状況にある場合は省略した名称でも可能です(例:株式会社田中商店→田中商店)。

② 課税仕入れを行った年月日
 水道光熱費や電話料金、賃貸料など、一定期間分の取引をまとめて請求するものについては、「○月分」といった記載で差し支えありません。

③ 課税仕入れに係る資産又は役務の内容
 取引内容(商品名や受けたサービス内容等)の記載は、正式名称でなくても、食料品代や部品代、文房具代など消費税が課税される物品や役務の提供であることが判断できる程度の記載で差し支えありません。
また、1回の取引で複数の物を購入した場合、課税分と非課税分を区分したうえで、「○○等」でかまいません。

④ 課税仕入れに係る支払対価の額


3.請求書等の記載事項

(1)取引の相手方から交付を受ける場合(請求書、納品書等)
  ①書類作成者の氏名又は名称 
  ②取引年月日(まとめ記載の場合にはその一定期間)
  ③取引内容
  ④取引金額(税込)
  ⑤書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称

 ※小売業、飲食店業、写真業、旅行業等を営む事業者が交付する書類については、⑤の記載を省略可

(2)仕入を行った事業者が自ら作成する場合(仕入明細書、仕入計算書等)
  ①書類作成者の氏名又は名称
  ②相手方の氏名又は名称
  ③取引年月日(まとめ記載の場合にはその一定期間)
  ④取引内容
  ⑤取引金額(税込)

 ※その書類に記載されている事項について、取引の相手方の確認を受けたものに限る


4.クレジットカードで購入した場合

 クレジットカード会社がそのカードの利用者に交付する請求明細書等は、消費税法上に規定する請求書等には該当しません。
 この請求明細書等は、そのカード利用者である事業者(課税仕入れを行った者)に対して課税資産の譲渡等を行った他の事業者(利用したお店などの課税仕入れの相手方)が作成・交付した書類ではなく、取引の内容も明記されていないからです。
 つまり、一般的にカード会社からカード利用者に毎月送付されてくる請求明細書を保存しているだけでは、仕入税額控除の要件を満たしたことにはなりません。
 クレジットカードを利用して購入した場合には、利用者に対して、課税資産の譲渡等を行った他の事業者(店舗)が「カードのご利用明細」(カード利用のお客様控え等)をその取引の都度発行しているのが通常です。
 この「ご利用明細書」またはその店舗の領収書があれば、請求書等に該当します。
 クレジットカードを利用した課税仕入れの場合、誤解しやすいためご注意ください。



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