平成27年の年末調整と28年分に向けての改正事項
国税庁HP上で、「平成27年分 年末調整のしかた」及び各種書類の様式等が公表されました。
平成27年分 年末調整のしかたはこちら⇒☆
平成27年分の年末調整においては、平成26年同様、復興特別所得税の課税に関する注意以外、とくに大きく変わることはありません。
平成27年からは所得税率の改正(所得が4000万円を超える場合の税率が45%に改正)がありますが、毎月の源泉徴収時に既に加味されているため年末調整での特別な調整はないと思います。
これに対して、平成28年分の年末調整からは大きくは次の2点に注意が必要です。
●マイナンバー制度の開始に伴う個人番号の記載
●国外居住親族に係る扶養控除等の適用に関する記載及び書類の添付(提示)義務
実務上、平成27年の年末調整においても関係してくる場合があるため、今のうちに準備しておくのが望ましいと思われます。
1.マイナンバー制度の開始に伴う個人番号の記載
マイナンバー制度が導入されることにより、平成27年10月から個人番号及び法人番号が通知され、平成28年1月から順次利用が開始されます。
給与の支払者は、平成28年1月以後、給与所得者から給与所得者本人(例:父)、控除対象配偶者(例:母)及び控除対象扶養親族等(例:子)の個人番号が記載された「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」の提出を受ける必要があります。
また、この申告書の提出を受けた給与の支払者は、その申告書に自身の個人番号又は法人番号を付記する必要があります。
具体的には
(1)扶養控除等申告書への個人番号の記載(給与所得者から個人番号の提供を受ける)
(2)本人確認(=「番号確認」+「身元確認」※)の実施
が必要になります。
※ 「番号確認」・・・提供を受ける番号が正しいことの確認
「身元確認」・・・番号の提供をする者が真にその番号の持ち主であることの確認
《本人確認を行う場合に使用する書類の例》
①個人番号カード(番号確認と身元確認)←写真つきで、希望者のみ交付されるもの
②通知カード(番号確認)+ 運転免許証、健康保険の被保険者証など(身元確認)
なお、給与の支払者が本人確認を行う必要があるのは、個人番号の提供を行う給与所得者本人のみとなります(控除対象配偶者や控除対象扶養親族等の本人確認は、給与所得者が行う)。
また、身元確認については、その方が従業員であり、採用時等に一度本人であることの確認を行っている場合には、本人を対面で確認することにより、身元確認書類の提示を受けることは不要です。
ただし、平成27年12月以前であっても、給与所得者等の個人番号が記載された「平成28年分 給与所得者の扶養控 除等(異動)申告書」の提出を受けても差し支えないとされています。
よって、実務上は27年分の年末調整で「給与所得者の保険料控除申告書」を記載する際に、 「平成28年分 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」の記載を依頼し、平成27年10月に通知された個人番号の記入をすることも多く考えられます。
※平成28年分の扶養控除等申告書の記載例はこちら⇒★
2.国外居住親族に係る扶養控除等の適用を受ける場合の書類の添付等義務
非居住者である親族(以下「国外居住親族」)について、扶養控除、配偶者控除又は障害者控除(以下「扶養控除等」)の適用を受ける場合には、『親族関係書類』及び『送金関係書類』を提出又は提示しなければならないこととされました。
「非居住者」とは、居住者以外の個人をいい、「居住者」とは、国内に住所を有し、又は現在まで引き続いて1年以上居所を有する個人をいいます。
この適用を受ける非居住者の例としては、留学している扶養家族について、その留学が継続して1年以上国外に居住することを通常必要とするものである場合が考えられます。
具体的には、国外居住親族について扶養控除等の適用を受ける居住者(給与所得者)は、
(1)扶養控除等申告書等の「非居住者である親族」欄に○印を付し、
(2) 「生計を一にする事実」欄等にその国外居住親族に対する送金額等を記載した上で、
(平成28年分の扶養控除等申告書 参照)
(3)その申告書等に「親族関係書類」と「送金関係書類」を添付して源泉徴収義務者に提出するか、提示する
ことが必要となりました。
なお、非居住者である配偶者について配偶者特別控除の適用を受ける場合も同様です。
《送金関係書類》
①外国送金依頼書の控え(その年において、居住者(本人)が国外居住親族の生活費又は教育費に充てるための支払を必要の都度、その国外居住親族に行ったかどうかを確認)
②クレジットカードの利用明細書(契約者が給与所得者本人として、いわゆる家族カードの利用明細)
《親族関係書類》
次の①又は②のいずれかの書類で、国外居住親族が居住者の親族であることを証するもの。
① 戸籍の附票の写しその他の国又は地方公共団体が発行した書類及び国外居住親族の旅券(パスポート)の写し
② 外国政府等が発行した戸籍謄本や出生証明書 ・婚姻証明書など(国外居住親族の氏名、生年月日及び住所又は居所の記載があるものに限ります。)
「国外居住親族に係る扶養控除等の適用について(リーフレット)」(平成27年9月)はこちら⇒△